2015年12月31日木曜日

2015年の本




今年ももう終わりです
今年もまぁまぁ本を読みました



約5年前くらいに目標をたてました

「30歳までに本を1000冊読む」

2015年1月の時点で約750冊読みました
来年で30歳、3日で2冊読めば間に合うくらい
そこで僕は考えました

できないことはないけど、読む本を選ばないと無理だろう
150ページくらいの本ならいけるけど、300ページを超えると厳しい
読みたくない本を読んで何になるんだろう



読みたくない本を月に10冊読むよりも
読みたい本を月に1冊読む方が良い
というわけで、目標をきっぱり諦めて
ゆっくり本を読むようになり、今年は61冊読みました



その中で特に良かったモノをピックアップしました




・「世界屠畜紀行」 内澤旬子
屠畜という言葉は日本では忌み嫌われがち
ただ「牛、豚を殺す職業」「生き物を殺すなんてかわいそう」と安易に思われがち
そんな日本の屠畜の現状や世界での屠畜のあり方が書かれている



・「タイコたたきの夢」 ライナー・チムニク
昨年も読んだライナー・チムニク
挿絵が良くて、夢に出てくるほどの一目惚れで買いました
そして今年もたまたま古本屋でみつけたので即買い
挿絵もさることながら内容が非常に良い
サイコロのように転がるお話
同じくライナー・チムニクの「クレーン男」も面白いです



・「いしいしんじの音ぐらし」 いしいしんじ
今年はいしいしんじラッシュの年でした
コレが出た後に2・3冊本が出たので忙しかったです
いしいさんは何かを文章に変換する事がずば抜けている
音楽を聴いてなんとなく感じていることをなんとなく以外の言葉に変換してくれる
この本を読んでいるとレコードで音楽を聴きたくなる



・「けもの道の歩き方」 千松信也
山に入り鹿や猪を罠を仕掛けて狩る猟師さんが書いた本
猟師はただ肉を得るためだけに狩りをしているのではない
鹿が増えるとエサが減る
エサに困った鹿は木の新芽を食べてしまう
新芽を食べられてしまうと木が育たない
木がなくなると根を張っていた地面が弱くなり土砂崩れが起こりやすくなる
猟師はただただ肉を狩るためだけではなく山を守るためにも働いている




・「ノートルダム・ド・パリ」 ヴィクトル・ユゴー
「ノートルダムの鐘」としてディズニー映画にもなったのに
なぜか復刻されなくて仕方なく初めてKindleを使い読んだ“本”
「この中には色んな小説に出てくる人が全部詰まっている」と人から聞いていて
どうしても手元に置きたくて電子書籍に手を染めました
文字に起こさず人の感情を表している
読み終えてスッキリするのではなく余韻が残る
名著なのになぜ復刻しないのだろうか、、、




・「海の本屋のはなし」 平野義昌
今はなき神戸の海文堂書店の店員さんが書いた
海文堂の記憶と記録が書かれた本
以前のブログに書いたのでよければそちらをご参照ください





来年も面白い本を読みたいです
そしていつかは1000冊読み終えたいです

2015年12月24日木曜日

2つのお話「男の中の男の話」

近頃はあんまり聞かなくなってきたけど
やれ肉食系だ草食系だと言われたり
頼もしい男性がいなくなっていると
男子の軟弱化を嘆く人達がいるけれど



僕はそれはちょっと違うと思っています
紀元前からかわっていないはず





昔っから男子は弱い





おはなし風にするとこんな感じ

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男の人と女の人はずっと違う所に住んでました
男の人は森のそばに住み、女の人は原っぱに住んでいました
男の人が住む森は木々がうっそうと茂って向こう側が見えません
とても深く暗い、なんとなく寂しそうな森でした





あるとき女の人が男の森に近づいて
森の入口に立っている男の人にたずねました


「その森の奥には何があるの?」


男の人は答えました


「この森の奥には“男の中の男”がいるんだ
 その人はとても偉くて僕らはいろいろ教えてもらってるんだ
 どんなに恐ろしい化け物が出てきても
 その人を見たとたん震えあがって逃げてしまうよ
 そして、君たち女は決してこの森に入ってはいけないよ
 その人は女の人にとてもきびしいからね
 怒鳴られるだけじゃすまないよ
 間違って女の人がこの森に入らないように僕らは見張ってるんだよ」


女の人は男の人に逆らわず答えました


「ふうん、そうなのね、
 あなた達が私たち女のことを守ってくれているのね
 わかったわ、私たちは森の中に入らないわ」





そう教えられた女の人たちは、男の人の忠告を守り
森の中には入らず原っぱで暮らしていました

長い間、お互いの領域を守りあい
大きな騒動もおこることもありませんでした





しかし、最近になってその約束事を不審に思う女の人が増えてきました

「まだ誰も“例の男の人”を見たという人に会ったこともない
 そんな人、本当にいるのかしら」

疑り深い女の人は男の人が見張っている森の入口のわきに隙間をみつけ
約束をやぶりとうとう森の中へ入ってしまったのです





女の人は深くて怖い森だと思って恐る恐る進んでいきます
しばらく歩くと明るい光が見えてきました
目を細めながら近づくとそこは反対側の出口でした



そこに広がる景色をみた女の人は驚きました
そこには大きな池が広がっていて
その池で釣りをしたり、池のほとりで昼寝をしたり
葉っぱの舟を浮かべて遊んでいたりする男の人がたくさんいました
男の中の男と呼べるような人はどこにも見当たりません
とてものどかな景色で、みんなぐうたら遊んでいます



「なによ!男の中の男だなんて全部嘘っぱちだったんだわ!
 誰もいやしないじゃない!
 それどころかみんなふにゃふにゃ遊んでるだけで
 みんな役立たずばっかりよ!」


それを知った女の人は原っぱに戻り
周りの若い女の人にその事実を伝えました


「なにが男の中の男よ!」

「いい加減なことばっかり言って!」

「これからは私達があの森をのっとるのよ!」


と若い女の人たちは団結し男の森を攻めはじめました



今まで隠していた後ろ盾がなくなった男の人たちは大慌て
いろいろ言い訳をしてもかないません
かといって暴力をふるうわけにもいかず
男の人たちは森の隅へ追いやられ
半数以上が原っぱにほうりだされてしまいました



若い女の人は原っぱに住む一番年寄りの女の人に
勇み足で報告しにいきました
報告をうけた一番年寄りの女の人は深くため息をつき言いました




「何も知らないふりをしてあげておいたら良かったのに、、、」




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そして同時にこんな事もあったんだと思います

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女の人は子供を産む
生き物にとってそれ以上に必要なことがあるだろうか



あるとき男の人達は集まり会議を始めました

「女の人ってすごない」
「オレらの立場なくない」
「これはどーにかせんとアカン、、、」



男の人達は知恵を絞りだし
ある仕組みを考えました
そしてそのことを女の人達に伝えにいきました



「え~あなた達はとてもすばらしく貴重な存在です
 そんなあなた達を、私達男性が守らなければなりません
 効率よく活動するためにある仕組みを作りました
 あなた達には負担をかけないようにします
 これであなた達の安全は保障されるのです」



それを聞いた女の人達はぽかーんと口をあけて

「男の人達がまた何かよくわからないことを言いだしたわ」

と思いました



女の人達は

「はぁ、そうですか
 生活が楽になるのであればお願いしますわ

と特に相手にせず、軽く返事をしました
返事を聞き男の人達はさっそくその仕組みを動かし始めました





まず男の人達は仕事を明確に分け、それぞれに地位をつけました
体を動かし仕事をする者、それを管理する者を細分化していきました
そしてそれぞれの仕事量に共通の代価を作り当て振りました



男の人達が作ったのは“社会”と呼ばれるものだったのです



時間をかけて徐々に大きくしていき
女の人達も気づかないうちに、ソレは国家となりました
ここまで大きくなると女の人達は口を出したくても出せません

遂には初めの約束もなかったことになってしまったのでした



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という事だと思うのです

男の人はそもそも役に立たず

女の人は男の人の行動に無頓着

単純にいうとこういう事だと思うのです