2014年3月9日日曜日

石川直樹と後ろにあるもの


いつも邪魔をするのは「偏見」や「慣れ」そして「知らない事」だ





北浜にあるFOLK OLD BOOK STOREという古本屋(最近、改装してカフェも充実した)
そこで石川直樹さんのトークショウがあった
ヒマラヤ5部作と称された写真集の2作目
「Qomolangma(チョモランマ)」の出版イベントだ
とても良い写真集だ













「チョモランマ」を聞いた事がある人は多いと思うけど
「チョモランマ」と「エベレスト」が同じ山だと知ってる人は多くないんじゃないだろうか
チベットの言葉でいうと「チョモランマ」、英語でいうと「エベレスト」、ネパール語でいうと「サガルマータ」
国の違いで呼び方が違うだけだ



それぞれの国にはそれぞれの文化がある
日本には日本の、チベットにはチベットの
それぞれの人種、生活様式、宗教がある
チベットも日本と同じく仏教文化がある
しかし、同じ仏教でも日本とは違う





タルチョという五色の旗がある
その旗が一度風になびけば読経したのと同じ効果があるとされている
日本人からいわせると
「なんだ、その手抜きな宗教は。やっぱり海外はラフでいいな〜(日本人はマジメだな〜)」
と思うかもしれない





チベットに住む人たちは五体投地(ごたいとうち)という礼拝を行っている
立っている状態から両手・両膝・頭をつき、そしてまたもとの体制になる
それを1日中くり返してやっている
それでも足らず風でも拝もうとしている



チョモランマに限らずヒマラヤ山脈には雄大な山がいくつもある
「カイラス」と呼ばれる誰も登ったことがない山がある
なぜ誰も登った事がないのか?
それは、カイラスが聖地とされているからだ
チベット仏教などが登る事を禁じているのだ





お釈迦様が産まれた場所に近いからこそ
人々が祈る気持ちも違ってくるのだろう







石川直樹さんはそんなヒマラヤに魅せられて
ここ数年、春と秋になるとヒマラヤへ足を運んでいる
「極地」と呼ばれる山に登り、そこで写真を撮っている




石川さんの使っているカメラは「マキナ」というクセのあるカメラだ
「少しでも装備を軽くしたい登山でフィルムのカメラを使うのはどうかしてる」
と、本人が言っていた「途中で捨てたくなる」とも
フィルムはデジタルに比べ撮れる枚数がかなり限られているのに
なんでマキナを使うのか




自分の吐く息でカメラが凍ってしまい
カメラについた氷をガリガリ削りながら写真を撮る
ゴーグルを外せないからファインダーを覗かずに撮るしかない
難点ばかりのように思える
でも、だからこそ撮れる写真がある
「これは僕にしか撮れない」と言っていた








今回のトークショウもそうだが
色んな人から声をかけてもらい、様々な事をいている
この“五部作”が終わったら奈良美智と東北を巡る旅を考えているらしい
その「つながり」はどうやって作っているのか聞いてみた



例えば、Aという目的があったとしたら、ひとまずAへ向かう
でもその途中に他の人から「Bがいいよ」とか「Cもおもしろいよ」と言われたら
頑にAに向かうのではなく「じゃあBへ行ってみよう」と全部受け入れていく
海外へ行った時も「郷に入っては郷に従え」と、その地域のしきたりを受け入れている





写真の撮り方も人との付き合い方も「自意識を排除」している
石川直樹という人は自分が「ある」ようで「ない」ような
不思議な魅力がある人だ


















さて、この写真集
最初に見た時と印象が変わっていませんか?
ちょっと魅力が増していませんか?
決してステマをしてるわけではありません





「バックヤードを知ると面白い」という事を言いたいのです
それは資料やネットだけでは知ることができない
自分でその場へ行ったり、それを感じれる場所へ近づく事が大切





いつもそれをしなければ楽しめないのか?
そんなことはない
「ココには何かある」と見えないものを見る目を常に持つ事
それが大切






おもしろい事はそこら中に転がっている
ここにも、そこにも、あそこにも






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