2014年2月24日月曜日

なじむ箱、しみわたる音

何かを作っている人
積極に発信している人
そんな人たちはみんな魅力的だ
みんなどこか似たようなところがある


例えるなら「湯がきたてのブロッコリー」
ツヤツヤで歯ごたえがあって
湯気が立って青々とした感じ
圧迫感はなくて、でもこっちに向かってくるような雰囲気
不思議だ



路地での初ライブはギターの弾き語り
店長が旅先で出会った旅するミュージシャン
輪(りん)さん
とても魅力的な人だ


「さぁ!ライブスタートですよ!」
という感じではなく、いつもの路地のペースでライブが始まる
「あ、始まった」
という感じで店内にギターの音がゆっくりとしみわたっていく


ワンドリンクはもちろんホットコーヒー
テーブルの上にそれぞれのカップが並ぶ
その姿は小さなお客がいるかの様に見えた
歌を聴きながらちびりちびりと飲み
みんな柔らかいギターの音と温かいコーヒーにひたっていった




路地はもともと大正時代の建物を店長自ら改装した店だ
そのせいか、まだオープンして1年も経っていないのに
とても馴染んでいる
街にもその店内も、そこの時間がずっと前からあったように感じる


輪さんのギターはタイに半年以上滞在していた時
現地のプレイヤーの人から譲ってもらったものだそうだ
これも古いモノらしく
弾いていない時も静かな音を鳴らしているような
“音を鳴らす存在”としてある


作られた場所や年代は違う
大きさや形も違うけど
どちらも何かを生み出す木の箱だ


ワルツのステップの様にリズムを刻み弦を弾く
その箱から音を引き出し、外の箱へとしみわたらせる
小さなドリッパーの中で豆を大きく踊らせて香りを引き出す
それらが穏やかに箱の中へしみわたっていく


その音と香りが両方の箱をつなぎ
僕らはその中で揺られるように音と香りを味わう
両者がケンカすることはない
お互いが相手を受け入れて
またそこから新たに生み出されていく


持ち主が変わっても
時間の流れに逆らわず
何かを吸い込み、何かを生み出し
ずっとそこにあり続けた二つの箱



この日のライブはもう聞くことはできないけど
またここで聴けるんだろうなぁ
と、なんとなくそう思う


それぞれの箱は離れ
いろんな場所で生み出し
いろんな物へとしみわたり
また合う日まで
いつ合えるのか


それは風に吹かれて

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