2016年12月12日月曜日

いしいしんじさんと私

僕は本を読むけど、小説はあんまり読みません
存命する好きな作家は村上春樹といしいしんじ
新刊がでれば意識して買って読みます



“いしいしんじ”との出会いは7年前のことでした
初めて入った小さなバー
店員さん一人、カウンターだけの店
店員さんがスタンダードブックストアで働いていたというので
何か面白い作家はいないかと聞くと
「村上春樹が好きなら“いしいしんじ”は面白いかも」
と勧められ翌日さっそくスタンダードブックストアで「ぶらんこ乗り」と「うなぎのダンス」を買いました

「ぶらんこ乗り」は童話のような、現実と空想が混ざりあう話でスルスル読めて
「うなぎのダンス」はいしいしんじという人のブクブクはじける頭の中を覗いたようなエッセイで
両極端な2冊でいしいしんじにどっぷりハマり、他の著書もむさぼるように読みました

ただ、教えてくれた店員さんに「とても面白かったです!」
と感想を伝えようと、2週間後に再び店に行くと
店は閉店して教えてくれた店員さんとは会えなくなってしまいました





その後、「いしいしんじのごはん日記」という
いしいさんの毎日の生活を読めるHPで色んなイベントの事を知り
四条烏丸のcocon烏丸にあったShin-biギャラリーで行われた
「The Beatlsの音楽の作法」
というイベントへ、ただサインをもらいたいがために本を片手に行きました
ビートルズのレコードをいしいしんじと湯浅学さんが
プレスされた国ごとに違う音色や、音の振り方を解説し
それを僕らは5時間くらい聴き続けるという貴重で奇妙なイベント
そこで語るいしいさんの言葉は音を形容して見せてくれる
まるで4人がそこで演奏しているかのように聴こえてくる
いしいさんの文書だけでは見えないところが見えてきて
ますます、いしいさんのトリコになっていきました



その後もいしいさんが出るイベントに何度も足を運び
不思議なお話を聞いたり
そのたびに本にサインをもらったり
家にあるいしいさんの本の半分くらいはサイン入りになってます





ある時、本が好きな上司が

「すみかわ君、いしいしんじさんって知ってる?」

と聞いてきたので
知ってるどころか、サイン本をもってるしよければ貸しますよ?
と偉そうに返事をすると
その上司は面白い話をしてくれました





  この前の休みに奥さんと近くのスーパーへ車で買い物にでかけたんや
  駐車場に車を停めたら3~4才の子供が

  『つーしーぶいや~!』

  って叫びながら近寄ってきたんや
  (上司は2CVというシトロエンの50年くらい前のクラシックカーに乗っています)

  『よう知ってるな~、買い物終わった後で乗せたろか』

  って約束して買い物終わってから乗せてあげたら
  クラッチ踏んでギアかえたり、よう知ってるんや
  その後にその子の親御さんが

  「ありがとうございます。実は今度こういうイベントがあるので
  ご都合がよろしければお越しください。」

  ってメールもらってんけど
  そのメールくれた人がいしいしんじさんやってん











絶句



いしいさんの住んでる場所はなんとなく知っていたけど
まさか身近に出会う人がいたとは、、、
羨ましいというより驚きの方が勝っていました
それと共に


もしかしたらいしいさんとより近づけるかもしれない


と期待もしていました




しかしそれからいしいさんに近づく機会もなく
あれやこれや代理店長をしたり、お酒を飲んだり過ごしていると
何度かお世話になっているあしやつくる場を担当しているTさんから



「今度のあしやつくる場にいしいしんじさんが来てくれることになりました」




と連絡が







、、、おっ?







「小さなお話を書いてもらってその場に来てくれたお客さんに配ろうと思うんですが」









おっ?








「その冊子の装丁をすみかわさんにお願いしようかと思ってるのですがどうでしょう?」











おおおぉぉ!!!




とうとういしいさんに近づける機会がやってきた!
装丁なんてしたことないけど
面白い依頼は断らない
四の五を言わず即承諾






話の内容は直前までわからないから
即興でできるように考えていたのですが
待つこと1~2ヶ月、、、まだ来ない
あしやつくる場はもう1週間後にせまってきており

あれはなかったことになったのかなぁ、、、



と考えていた頃にTさんから





「やっと届きました!」



と連絡がきた




製本などの時間を考えると2日くらいで装丁しないといけない
もう迷ったり悩んだりしてる時間はない
「とじてん」とかコーヒーの淹れ方ZINEとか作っててよかった
今、あの意味があるかどうかわからない経験が生きた




無事、修正する日を確保しつつ完成
つくる場でみなさんに配ることができました












無事完成したので祝杯をあげました
いしいさんとも少し話せたし良かったです










会いたいと思う人がいたとき
ずーーー、、っと会いたいと思っていれば
必ず会えるんだとわかった

そのためにはどんなに小さなチャンスでも見逃さないこと
その、どこかにつながるきっかけは
今も自分のまわりに散らばってるかもしれない





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